新年にあたり遺言書を新たに書く方や書き直される方がいらっしゃると思います。
通常遺言書がある場合その故人の遺志を尊重し遺言書のとおりに分配するのが通常だと思います。しかし相続人側の様々な理由により遺言書のとおりは不都合があるとなったときどうするのでしょうか。なんと、場合によっては遺言と違う遺産分割ができるのです。
では、遺言書とは異なる遺産分割ができる場合とはどんな時でしょう?
〇受遺者・相続人全員が同意した場合
相続人全員(受遺者がいる場合は受遺者も含む)が同意した場合には、遺言とは異なる内容の遺産分割を行うことができます。
遺言により財産を受ける受遺者がいる場合にはその全員が、遺言とは異なる内容の遺産分割に同意した場合、受遺者全員が遺贈を放棄したものとされ、相続人全員の合意による遺産分割が可能となります。
〇遺言書が無効である場合
遺言書は、かなり厳しく書き方が決まってますので、令和●年●月吉日などと要件を満たしていない遺言書は、無効となります。
遺言書が無効である場合は遺産が共同相続人の共有となりますので、遺産分割を行うことになります。
〇 遺言で遺産分割協議をすることを禁じられていないこと
被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができます。
〇遺言執行者がいる場合にはその同意があること
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。
遺言執行者がいる場合には相続人は遺言執行者の行為を妨げることはできません。
そのため、遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者の同意を得る必要があります。
〇相続させる旨の遺言がない場合
この場合は特殊ですが判断が分かれております。判例では「相続させる旨の遺言」がある場合は遺言どおりに相続させるべきであり、遺言内容と違った遺産分割は無効となってます。しかし実務では遺産分割協議が出来てしまいます。判断が分かれる部分です。難しいですね。