困難な登記の事例の一つに、次のような場合が有ります。
「自宅の敷地は全て自分が所有しているものと思っていたが、自宅敷地の登記簿を取得してみると、自分の名義ではない土地が出てきた。この土地を自分の名義にかえることはできないだろうか。」
というものです。
この場合、具体的には以下の二つの場合に分かることができます。
①自宅の敷地の一部に、他人名義の土地(甲土地)があった。登記簿を見ると、住所・氏名が登記されている。
②自宅の敷地の一部に、他人名義の土地(甲土地)があるが、名義人の住所すら登記されていないため、いったいどこの誰かも分からない。
上記いずれの場合も、占有開始から20年経過していれば、その他人名義の土地を時効取得し、自己名義に変更できる可能性が有りますが、その方法は、①及び②によって異なります。
【①の場合】
甲土地の名義人の住所・氏名をもとに、住民票を取得して、時効取得の訴訟をします。
住民票が除票となっており、甲土地の名義人が死亡していたことが判明した場合は、甲土地の名義人の出生から死亡までの戸籍等を取得して相続人を確定させ、その相続人全員に対して時効取得の訴訟をします。
【②の場合】
甲土地の名義人の財産を管理する不在者財産管理人を選任し、その不在者財産管理人に対して時効取得の訴訟をする。
以上のとおり、困難と思える他人名義の土地の名義の変更についても解決方法はあります。
しかし、土地名義人の相続人を捜索していったところ、相続人が全くいなかった場合など、上記より更に特殊な案件になる場合もございますので、具体的な手続については、ご相談下さい。
なお、このような時効取得の裁判にあたっては、
・20年以上にわたって固定資産税を払ってきた
・自分でブロック塀を建てて他の土地と隔離し、駐車場としていた
など、占有開始の時点や、自分のものとして長期間占有してきた事実に関する証拠書類が重要となってきます。
野口